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2009年4月13日 (月)

コミニュティFMの送信電力規制緩和問題の雑誌記事を読んで

先日このブログの常連であるらぶSUNさんからお教えいただいた
月刊経済情報雑誌の「ZAITEN」~ざいてん~(発行・財界展望新社)(5月号)で、コミュニティFM放送の出力規制の緩和を目指した関連法改正プランが、一部の民放ラジオ局の反対で頓挫したという記事について昨日、その雑誌を購入し、拝見しました。

確かにらぶSUNさんの説明どおり、(以下は引用です)
>この号の35~36ページに、「コミニュティFMの規制緩和にラジオ局が猛反対する理由」と題した記事が載っています。
>これによりますと、新潟県中越地震が発生した際の地元コミュニティFM局での報道活動が目覚しかったとかなどが契機となり、全国にいくつか設定されている「コミュニティFM特区」の地域内のコミュニティFM局を対象に、出力規制を緩和しようと、内閣府が検討していたそうですが、一部の民放ラジオ局が猛反対し、総務省も難色を示したとかで、このプランが頓挫したという事です。

私も読みましたが記事は、その主旨だったと思います

ただし、この記事は、内閣府の構造改革特区の役人もしくは推進議員の意見をベースに書かれており、コミュニテイFMの出力増加=規制改革のあるべき姿、それに反対するのは抵抗勢力で既得権益を守ろうとするものという構図で描かれており、問題の背景にある電波技術論なんか一切無視したものであると感じました。

コミュニテイFMの出力増加による問題は一切書かれていないのはなぜかと不思議に思いました。これは放送空中線電力増加の規制緩和は正しいことで、規制緩和特区で決めれば、なんら問題なくできるという前提で説明しているように思いました

というのは、コミュニテイFMは放送電波の周波数を使うもののいわゆる普通の放送局とは免許そのものの法令的にも違い、市町村、大都市の区などごく一部を対象とすべきもののはずです。

出力も20Wに上がりましたが、制度開始当初は1W、エリアをわざと小さくして既存の放送局の放送に混信や抑圧などの放送受信に影響の無い範囲で、限られた周波数を繰り返し使おうとするものです。すなわち混信を考慮した技術的検討のうえ放送局の周波数・電力というものは指定されているものです。

普通FM放送の周波数はVHF帯なので中波AMのように夜間の電離層伝播による影響は、無いと思われがちなのですが、春から秋にかけての時期には「スポラディックE層」が出現するため、遠隔地のFM電波が受信できることになります。

この「スポラディックE層」による伝播は非常に強力なものであり、FMの電波は混信すると、強い電波が弱い電波を消してしまう「弱肉強食」的な性質をもっているため、極端な話50Wの出力があれは地元局の電波を聞こえなくする混信が生じる可能性もあります。

中波AMの場合ですと夜間に電波が広く飛ぶということが当たり前ですし、混信しても2局まとめて聞こえるという形になるのですが、中波AMラジオ放送では混信して市域の放送局を作る余地がないので混信対策中継局をFM放送でやるところもあるぐらいです。

それなら、コミュニテイFMは拡張できないのかというとそうではなく、三木市のFMのように旧吉川町との合併により中継局を設置すればよいだけの話で、実際に免許もされており必ずしも送信電力を上げればよいというわけではないのです。実際一般の放送局でも親局のパワーを上げるより、多くの小電力中継局でUHF-TVが成り立っていることはサンテレビを知る兵庫県民はほどんどが理解できる話と思います

これは電波法の主旨からいっても目的を達成できる最小限の電力と混信を防ぐというのは明らかであり規制緩和での論議にはなじまないのでは?という感じです。

政治の話と技術の話を混同しているような印象を受けました。すでに新自由主義の終焉といわれており、規制緩和ですべてがうまくいくということを信じる人も以前ほどいないので、電波管理部門である総務省にはがんばってほしいものです。電波行政を主管する総務省が難色を示したのは、既存放送局の広告利益の保護ではなく、電波法や放送法の主旨から判断されたことと私は思います。

本局のパワーを上げることは不要な混信を招くだけではないか?市域をまたぐような放送をしたいのであれば普通の放送局(県域以上)として免許を受けるべきと私は思います。

なお、一般的な理解はWIKIなどをお読みください

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E6%94%BE%E9%80%81

実際に、オーバーパワーをしてFM局と混信を起こし社会問題になり行政処分(運用停止)となった実例もあります
http://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/new/2007/0109_01.html
これは電波法違反の問題ですが、単なる規制緩和による出力アップではだめで技術的要素が必要で、事実上、規制緩和による出力アップは混信を招くため実施は技術的にむずかしいと思います

コミュニテイFMは、インターネットのサイマル放送などでも 普通の放送局とは違い著作権の問題なども恩恵・優遇されていると聞いています。規模が小さいから簡易的で良かったり保護され、守られていることもあります。

たとえが悪いかもしれませんが、「50CCの原動機つき自転車で高速道路を通行可能にしろという要求」よりレベルが悪い気がします

設立の趣旨から通常の放送局とは異質なものであり、電力問題は技術問題を含む問題であることは明らかです。

その意味で、らぶSUNさんの発言にありました
>この記事を見て思ったのは、民間放送連盟加盟の民放ラジオ局の経営サイドによるコミュニティFMいじめ以外の何者でもないと思うのですが・・・

このことについては、放送事情に詳しいらぶSUNさんも惑わす記事で(実際にそのように思われているのなら別ですが)、あまりにも技術的背景を書かず、経営的問題に偏った評価をされていると思いました。

財界の名前がつく雑誌なので技術問題より経済優先で規制緩和ありきでそれは「その世界で正しいこと」なのでしょうか?このあたりは私にはよくわかりません。全体的に見て悪い雑誌とは思えないのですががみなさんはいかが思われますか?

私は、放送局技術知識については1級無線技術士資格をもつものですがラジオ・放送業界にはおりません。(高校教員です。はじめて見られた人のために・・)

なお、この雑誌記事には、放送局のラ・テ兼営局はラジオ部門をお荷物にしている例も書かれており、このあたりは私の今までの発言と同様のことが書かれており問題認識そのものは、私と同じような部分もあり見事なものです。

「ラジオ局は切り捨てるしかないと諦めの声も各所から聞こえてくる」という結びは意図が計り知れず、この文章をもってラジオ局批判記事として私は記事そのものを批判するつもりはありません。皆さんには一度全文をお読みになることをお勧めします

むしろ、ラ・テ兼営局のラジオ部門の苦しさがわかるのであれば、ラジオそれもAMラジオ単営局の規制緩和問題を考えてほしいと思います。ラ・テ兼営広域局に対抗し、コミュニティFMと連携するラジオ関西のラジネットひょうごなどの動きは評価されるべきものとい思います。

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コメント

西川さん、主に構造改革特区コミュニティFMの出力規制緩和政策を内閣府が推進しようとした拠りどころのキーワードは、「災害報道への対応」だったのではと私は思います。
突然やってくる大地震だけではなく、集中豪雨や水害などの災害報道において、とくに、局地的な地域だけを放送エリアとするコミュニティFMにおいては、災害報道は県域民放ラジオ局よりも重要だという認識があったのでしょうね。
新潟県中越地震とか、昨年の東北地方の地震でも、関連地域のコミュニティFM局は、放送エリア内の避難場所情報とか、安否情報などを、民放ラジオ局よりもきめ細かく伝えていたそうで、内閣府としても、これを目の当たりにして、局地的地域の放送メディアであるコミュニティFMに、従来以上に災害報道機関としての使命を求めようとしたのでしょうね。

かなり難しい問題のようですが、
いつもながら本当に勉強になります。

ただ、周波数に関しては、
総務省は、もっとまともな割り当てをするべきでは
ないか、といつも考えておりました。

もうこの場で深くは話しませんが。

いずれにせよ、もう少しうまいやり方は
あるように感じます。

とくながさん ごぶさたしております
FM放送局の周波数割り当ては1970年代から
各地のNHK、県域民放、中継局をあわせ相当の
局が免許されています。
それに加えコミュニテイFMと相当無理を
しているように思えます
同じ周波数を繰り返し割り当てるのには、1つの放送局のエリアを小さくするため電力を制限したり、指向性を設けて混信対策をすることが行われています
県域FMの中継局ではコミュニテイ放送局の親局以下というところもめずらしくはありません
しかし、空中線電力の増加のほうが経費の面で都合がいいと考えるところが多いのがこの問題の背景にあるように思います。
この特区を利用した増力も主に北海道の局が中心ですから電波技術を知らない人にとっては「広い北海道ならいいのでは?」と思いがちです。
しかし、アマチュア無線家ならスポラデイックE層反射となると 関西-北海道の距離が頻繁に通信可能になる距離であることは良くしられており、北海道のコミュニテイFM局の増力は多くの地域に迷惑を与えることは容易に想像できます。
このように考えると今後FM放送の放送帯域に市ごとに免許を与えることはむすかしいのではないかと
も思います。一方ではFMの奈良県県域民間放送など現存しない放送局にも、周波数と電力の割り当てはすでに確保されているはずで、このあたりも問題をむずかしくしています。周波数がほしい地域と、経済的に開局さえむずかしい地域もあることは事実なのでしょう。

参考 近畿地方で県域民間放送FM 未開局と予定割り当て周波数
奈良県民間放送FM ----- 85.8MHz

和歌山県民間放送FM ---- 77.2MHz


したがってこの周波数は現在は開局していなくても十分配慮しなければならない周波数といえますのでコミュニテイFM局側の規制緩和意見だけでは決められないことになるのです


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