ポールモーリア氏が死去
今朝、神戸新聞を見て驚いた。昨晩このブログで、ポールモーリアの「恋はみずいろ」を具体例として書いていたが勿論そのときには訃報のことは何も知らなかった。ラジオ関西の電話リクエストやFM大阪が開局直後の当時といえばビートルズの全盛時代は過ぎたものの人気は衰えず、またカーペンターズ、ベンチャーズなども多くのヒットがあった時代である。
神戸新聞では、フランス公共ラジオによるものとしてポール・モーリア氏が3日、仏南部のペルピニャンで死去したことを伝え「イージーリスニングの代表格」と紹介している。私がはじめてポールモーリアを知ったのはやはりラジオ関西の音楽番組であった。
小学生時代の私は、当時はテレビ視聴を中心にしていたが、テレビは歌手が出演する豪華なものであるがラジオというとレコードをかけるだけで非常に安上がりな放送であると思っていたが、テレビは歌謡曲中心でありポピュラーなど洋楽は放送されないのが普通であった。レコードをかけて画像はイメージ風景というのさえなかったように思う。また、今のようなプロモーションビデオが配信されることもない。ポールモーリアなどは、有名な歌手のヒット曲を自分のアレンジで演奏するというのが多く「恋はみずいろ」も、実は女性歌手のビッキー(だったと思う)のヒット曲からであった。カラオケや歌のない歌謡曲と違うのは独特の編曲、ストリングスの多用という手法で原曲以上の魅力を生み出していたと思う。
「イージーリスニング」が今以上に流行したのは、当時のオーデイオブームと、アナログ技術の頂点があったように思う。たとえば今では懐かしい4CHステレオ(アナログレコード)にはポールモーリアなどのサウンドが似合った。木製家具調の大型ステレオには、FMチューナーがつくのは比較的後期でありAMチューナーのみというものも多かったのである。
(注)4チャンネルレコードの方式はCD-4、SQシステム、UD-4などもあったようだ。4チャンネルレコードは1970年代の技術であり、4チャンネルレコード化されたのはクラシックなど演奏ものが多く、それも売れる見込みのあるものだけだったのではないかと思われる。
テープデッキなど音響機器の価格は今から思うと高価であった。しかもチューナーやテープより、アナログレコードの音が非常に良かったので、AMラジオでの音楽番組を聴き、気に入ったレコードを買い高音質を楽しむという「AMラジオとレコードの共生ができた時代」だったと思う。ラジオ関西の電話リクエストからフォーククルセダーズの「帰ってきたヨッパライ」が生まれたのもAMラジオ音楽番組の力であった。そのような中でポールモーリアなどの洋楽も当初テレビやFMではなくAMラジオから紹介され、高音質のレコードの購入意欲につながったのである。4チャンネルステレオレコード時代に忘れられないポールモーリアサウンド。氏のご冥福をお祈りします。
« 神戸新聞でラジオ関西の電話リクエストの記事が | トップページ | 海のみえる放送局考 »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
最近、テレビ番組やCMのBGMで「ポール・モーリア」をはじめとする、
イージーリスニングやインストゥメタルのCD音楽が流れる機会が著しく減っている印象があります。
その要因は、デジタル化などの投資負担などで経営が圧迫されつつある民放各局が、著作権料の支出を抑えるため、著作権フリーの規格化されたBGMを使う傾向が強まっているからだと思われます。
この裏にあるのは、日本音楽著作権協会(JASRAC)と、民放各局・日本民間放送連盟の、著作権という名のマネー利権をめぐる醜い争いの一端を垣間見る思いがします。
日本の放送メディア界、エンタテイメント界は、共に成熟期を越えて、老化現象がチラホラ見えてきているようです。
最近、テレビ各局が保有する番組ソフトの再利用や、放送番組のネット配信をめぐる論議が高まっていますが、JASRACと民放連、それに芸能プロダクションなどとの思惑とも複雑に絡んで、なかなか視聴者本位での議論が進まないようです。
投稿: らぶSun | 2006年11月18日 (土) 15時30分
かつて、TBSテレビのゴールデンアワーで、「テレビ探偵団」という番組が放送されていました。
昭和61年10月から始まったこの番組は、民放各局やNHKのテレビ番組の古い映像を紹介しながら、スタジオトークを交えて展開した番組で、「懐かしのお宝映像が見られる」と評判になり、7年近く続きましたが、その一方で、テレビ各局の番組ソフトを十分な著作権処理もせずに安易に寄せ集めた番組制作者の姿勢が問題になったようで、日本民間放送労働組合連合会が2か月ごとに発行する機関誌「放送レポート」で、この番組を取り上げてヤリ玉に挙げるほどでした。
放送番組は、一つ一つの番組に著作権をめぐる複雑な関係が存在しており、音楽をBGMに流すにしても、著作権料が必要です。
今の民放は、デジタル化問題や、メディアそのものの成熟化の狭間で、もがいている印象があり、著作権をめぐる諸問題も、それを象徴しているようです。
投稿: | 2006年11月18日 (土) 15時49分